便秘症 に関して

便秘症 とは

便秘症は、「排便が難しい」「排便回数が少ない」「硬便が出る」などの症状を特徴とします。この状態は生活の質を著しく低下させる可能性があり、適切な診断と治療が重要です。便秘症の原因は多岐にわたり、生活習慣、食事、薬剤、基礎疾患などが関与するため、詳細な問診と検査が必要です。

急いで医療機関を受診すべき便秘

下のような症状が現れた場合、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

  • 嘔気・嘔吐を伴う便秘
  • 持続する締め付けられるような腹痛がある便秘
  • 便に血が混じっている
  • 極度の体重減少や食欲不振がある
  • お腹や鼠径部の一部分が膨らんで元に戻らない
  • 便がすごく細くなった
  • 発熱を伴う便秘

特に、持病がある方、高齢の方は、上記症状がなくても便秘が続く場合には医師の診察を受けることをお勧めします。

便秘症 のイメージ画像

緊急性の高い便秘

閉塞性の便秘症:下記の原因が考えられ、場合によっては緊急での治療や手術が必要になる。

  • 大腸癌などの腫瘍:大腸が破れる可能性がある。
  • 腸捻転:小腸や大腸が壊死する可能性がある。
  • お腹の手術後や炎症に伴う癒着:嘔気、嘔吐が改善しない。
  • ヘルニア (腸がどこかにはまり込む):はまり込んで抜けなくなると小腸が壊死する可能性がある。
  • 小腸や大腸の炎症:炎症がすすむと全身状態が悪化する。

緊急性は高くないが対応が必要な便秘

非閉塞性の便秘症:便が硬い、大腸の動きが悪い などの理由で便がでにくい状態。

よくある便秘で、下記の原因が考えられる。

便秘の原因 ①:生活習慣と食事

  • 食物繊維の不足:野菜や果物、穀物などの摂取不足は便秘の原因になりうる。
  • 水分摂取不足:水分が不足すると、便が硬くなり排便が困難になることが多い。
  • 運動不足: 体を動かすことで腸の動きが活発になり、便秘を予防する効果がある。

便秘の原因 ②:薬剤

  • 抗うつ薬や抗精神病薬:一部の薬剤は副作用として便秘を引き起こすことがある。
  • 鉄剤:貧血治療のための鉄剤も便秘の原因となることがある。
  • 鎮痛薬:医療用の麻薬なども腸の動きを抑制する。

便秘の原因 ③:併存疾患

  • 過敏性腸症候群 (IBS):便秘型過敏性腸症候群の場合は頻繁に見られる症状で、大腸の動きが悪くなっている。
  • 糖尿病:血糖値のコントロールが不十分な場合、腸の動きが鈍くなることがある。
  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの不足により、腸の動きが鈍くなる。
  • パーキンソン病:腸の動きが鈍くなり便秘になりやすくなる。
  • 維持透析中:腸の動きが鈍くなり便秘になりやすくなる。

便秘症 に対する検査

  • 腹部X線検査:腸内のガスの分布や便の状態を観察する。
  • 腹部エコー (腹部超音波検査):便の貯留の有無や便秘の原因を検索する。他臓器も検索できる。
  • 腹部 (造影) CT検査:小腸や大腸の疾患を俯瞰的に検索可能。同時に他の臓器の異常も検索できる。設備のある比較的大きい病院でしか施行できない。
  • 血液検査 (採血):便秘の原因になりうる疾患を推測できる。
  • 便潜血検査:大腸癌のスクリーニング検査として有用。陽性の場合は大腸カメラが推奨される。
  • 大腸カメラ (下部消化管内視鏡検査):大腸内の異常を直接確認するために行う。

便秘症 に関して詳しくは下記をご覧ください

著者紹介:徳永竜馬 


副院長、医師、医学博士

資格

  • 日本外科学会 専門医
  • 消化器外科学会 専門医・指導医
  • 消化器病学会 専門医・指導医
  • がん治療認定医
  • 消化器内視鏡学会 専門医
  • 胃腸科専門医
  • 大腸肛門病学会 専門医
  • 認定産業医

略歴

  • 熊本市立東町小学校
  • 熊本市立桜木中学校
  • 熊本県立熊本高校
  • 広島大学医学部医学科
  • 熊本大学大学院医学教育部 (学位取得)