上気道感染症 とは

上気道感染症 とは上気道のどこかに微生物 (ウイルス、細菌 など) の感染がおきて、症状をきたす疾患群です。症状としてはくしゃみ、鼻汁、鼻づまり、咽頭痛 (のどの痛み)、嗄声 (しわがれた声) などがあります。風邪 (急性上気道炎) が最も多く、安静にしていれば治ることも多いですが、急性喉頭蓋炎などの呼吸苦をきたす病気もあり注意が必要です。また、稀に肺炎なども併発することがあり場合によっては詳細な検査が必要です。 

診断する際の考え方

  • 鼻、のど、咳などの症状が全てある:風邪 (急性上気道炎) を疑う。
  • 鼻の症状がメイン:急性鼻炎、副鼻腔炎などを疑う。
  • のどの症状がメイン:急性咽頭炎、急性扁桃炎などを疑う。
  • 咳症状がメイン:下気道の疾患 (急性気管支炎、肺炎) なども疑う。
上気道感染症 のイメージ画像

上気道感染症 に含まれる疾患 (それぞれについて詳しくは下記のスライドをご参照下さい)

  • かぜ症候群 (急性上気道炎):最もよくみられる呼吸器疾患で、原因のほとんどはウイルス。数日で自然治癒する。
  • 副鼻腔炎:鼻腔に細い穴でつながる副鼻腔に炎症をきたした疾患。炎症が続くと蓄膿、鼻茸になる。
  • 急性咽頭炎:咽頭におこる感染症。ウイルス、細菌、真菌による感染がある。A群β溶血連鎖球菌感染症の場合には10日間の抗菌薬投与が必要。
  • 急性扁桃炎:口蓋扁桃におこる感染症。急性咽頭炎に含まれる。扁桃周囲膿瘍や扁桃炎を繰りかえす場合は、扁桃摘出術を考慮する。
  • 急性喉頭蓋炎:小児に多いが成人にもおきる喉頭蓋の急性炎症。窒息する危険性があるので緊急治療が必要。
  • クループ症候群:3歳以下の乳幼児に好発。様々な原因で声門周囲が腫脹し、呼吸苦がでる。
  • インフルエンザ感染症:インフルエンザウイルス感染症。冬~春に流行する。抗原検査 (感染後24時間以内では偽陰性の可能性あり)で診断。

上気道感染症 において大事なこと

  • 気道閉塞をきたす (息を吸う時にヒューヒュー音がする) 疾患は緊急で治療をする必要がある。
  • 細菌感染症には抗菌薬治療が効果あり。
  • ウイルス感染症に対する治療の基本は対症療法 (症状をとる治療、ウイルスの種類によっては抗ウイルス薬を用いる)。
  • ウイルスは多領域に感染し多症状を呈する。細菌は原則として一つの細菌が単一臓器に感染し症状を呈する。

上気道感染症 に関して気を付けておいてほしいこと

  • 高齢の方、呼吸器疾患の既往がある、抗癌剤治療中などの免疫力が落ちている方は重症化する可能性もあります。
  • いつもの風邪と違う、呼吸苦がある、よくわからないけど熱がある、などの場合はできるだけ早くご相談下さい。

上気道感染症 に関して詳しくは下記をご覧ください

著者紹介:徳永竜馬 


副院長、医師、医学博士

資格

  • 日本外科学会 専門医
  • 消化器外科学会 専門医・指導医
  • 消化器病学会 専門医・指導医
  • がん治療認定医
  • 消化器内視鏡学会 専門医
  • 胃腸科専門医
  • 大腸肛門病学会 専門医
  • 認定産業医

略歴

  • 熊本市立東町小学校
  • 熊本市立桜木中学校
  • 熊本県立熊本高校
  • 広島大学医学部医学科
  • 熊本大学大学院医学教育部 (学位取得)