過敏性腸症候群 に関して
過敏性腸症候群 とは
腹痛、腹部不快感、便秘、下痢などを主訴とする原因がはっきりしない機能的な疾患で、過敏性腸症候群の症状を持つ人は全世界において全人口の4.1%を占めるといわれています (Sperber AD. et al. Gastroenterology. 2021)。日本では消化器内科を受診される患者さんの約30%を占めるといわれており、早期の適切な診断、適切な加療が重要です。
過敏性腸症候群 に関して
- 過敏性腸症候群の原因はさまざま (ストレス、食生活、生活習慣、腸内細菌、粘膜の炎症、神経伝達物質、遺伝 などが関与しているとの報告がある)。
- 思春期の女性や40歳代の男性に多い。
- 男性は下痢型、女性は便秘型が多い。
- 感染性腸炎後の10%に発症するといわれている (女性、若年、ストレスが多い、胃腸炎の症状が強い、の場合にリスクが高い)。
過敏性腸症候群 の特徴的な症状
- 頻繁に腹痛や腹部不快感がある。
- 急な腹痛や下痢でトイレに急いでいくことが多い。
- 排便すると腹痛がやわらぐ。
- 便秘と下痢が交互におこる。
- 排便後に便が残っている感じがする。
- いつも便秘気味もしくは下痢気味。
- いつも下痢がでそうで心配.
- トイレに行きにくい状況 (学校、乗車中など) で症状がでる。
過敏性腸症候群 の治療
① 分類に応じた治療。内服薬も含めて、受診時に詳しくご説明します。
② 不安やストレスの解消
中枢神経系の治療
- 抗うつ薬:腹痛の改善効果あり。副作用に注意する。
- 抗不安薬:不安を軽減することで症状改善効果あり。
心理療法 (下記の方法が提案されている)
- 認知行動療法
- 催眠療法
- リラクセーション など
過敏性腸症候群 に関して大事なこと
- 過敏性腸症候群の症状がある場合は医療機関を受診する。
- 治療の基本は食事、生活習慣の改善。
- 睡眠や食事の時間を一定にし、規則正しい生活を送る。
- 暴飲暴食をせず、低FODMAP食を意識する。
- 不安やストレスの原因を解消、緩和するように心がける。
- 十分な休息を取り、適度な運動をする。
- 必要時は内服薬を使用して症状を緩和させる。
過敏性腸症候群 に関して詳しくは下記をご覧ください
著者紹介:徳永竜馬
副院長、医師、医学博士
資格
- 日本外科学会 専門医
- 消化器外科学会 専門医・指導医
- 消化器病学会 専門医・指導医
- がん治療認定医
- 消化器内視鏡学会 専門医
- 胃腸科専門医
- 大腸肛門病学会 専門医
- 認定産業医
略歴
- 熊本市立東町小学校
- 熊本市立桜木中学校
- 熊本県立熊本高校
- 広島大学医学部医学科
- 熊本大学大学院医学教育部 (学位取得)